【こんな症例も治りますシリーズ 740】 『 猫の特発性膀胱炎 』も適切な診断と治療で治します

↑上のイラストは、ネコちゃんの特発性膀胱炎の断面図です。
★ 膀胱は、直接尿に組織がさらされないようにする内張りに保護層があり、その層はPSGAGという『特殊な糖タンパク質』で構成されています。
★ ストレスなどで、この層が壊れてしまうと、膀胱炎になりやすいのです。

 

参照サイト:

https://00m.in/LgCyc

 

猫 日本猫 6歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 オシッコの色がピンク色 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼主様からお話を伺ってみると『 最近、オシッコの回数が多いのとオシッコの色がピンク色をしているような気がする。 』とのことで来院されました。

 

 

■ 膀胱炎とは、一般的に、様々な原因により、膀胱内が炎症を起こした状態を言います。

 

 

■ 一般的な原因としては

 

①感染症

 

②尿石症

 

③癌

 

④過度なストレスなどが考えられます。

 

 

 

■ また、猫の膀胱炎は、病態によって、大きく2つに分けることができます。

 

 

 

★ 一つ目は、①細菌感染が関係している『 細菌性膀胱炎 』、

 

 

 

★ 二つ目は、②細菌感染が関係していない『 無菌性膀胱炎または特発性膀胱炎 』で、その原因ははっきりとは分かっていません。

 

 

 

■ 膀胱炎の症状としては、頻尿、排尿困難、排尿痛、血尿などが見られます。

 

 

■ 検査は、尿検査、レントゲン検査、超音波検査、細菌培養、血液検査の他、造影検査、細菌培養、CT、MRIが必要となることもあります。

■ 治療は、原因が分かっている場合は、その原因に対する治療を行います。

 

 

 

■ したがって、特発性膀胱炎では、その要因の一つとしてストレスが強く関与していることから、ストレスのもととなる生活環境を改善することが重要となります。

 

 

 

◆◆ さて、このネコちゃんの場合、血液検査、尿検査、レントゲンおよびエコーを実施しところ、腎臓、尿管及び膀胱に明らかな腫瘍や結石は認められませんでした。

 

 

 

 

■ また、尿中検査では潜血反応は(3+)でしたが、細菌培養の結果、細菌は(-)でした。

 

 

 

 

■ これらのことから、結石、腫瘍あるいは細菌性膀胱炎の可能性は除外できたので、『 特発性膀胱炎 』と診断しました。

 

 

 

■■ 飼主様に検査結果と『 特発性膀胱炎 』のお話をしたところ、『 そういえば、ここ数日間、隣の部屋のリフォーム工事ため、頻繁に人が出入りし、工事の大きな音もしてた 』とのことでした。

 

 

 

■ そこで、治療方針としては、工事の間は出来るだけネコちゃんに別の居場所を与えてあげることをお話しするとともに、精神安定の効果を持つサプリメントを処方することとしました。

 

 

 

■ 2週間後、お電話で『 血尿は無くなったみたいです 』と飼主様が嬉しそうにお話下さいました。

 

 

 

■ ただ『 猫の特発性膀胱炎 』は再発を繰り返す場合が多いため、日ごろの生活環境には引き続き注意するようにお伝えしました。

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

Page Top